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最高裁判所第一小法廷 昭和24年(オ)58号 判決 1953年12月14日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理由

上告代理人弁護士小山内績の上告理由について。

所論債権者代位権の行使は、債務者がみずから権利を行使しない場合に限り許されるものと解すべきである。債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。債権者代位権という制度の本質から見て、かく解するのが相当である。若し、所論のごとく債務者自らがその権利を行使するに当り不十分、不誠実、不適当な場合には、債権者は補助参加により、さらに場合によつては当事者参加によつて、自己の権利保全をすることもできるし、事情によつては詐害行為として取消を請求することもできるのである。それ故、必ずしも所論のいうように原審のごとく解することが、債権者の保護に欠けるものとすることはできない。所論は、右と異る独自の見解を主張するもので、原判決には所論の違法を認めることはできない。

よつて民訴法四〇一条、九五条、八九条により、全裁判官の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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